安全なDX化・ICT活用を進める上でMDMは不可欠
施設内で使用するiPadなどのスマートデバイスを、CLOMO MDMを用いて一元的に管理。営業秘密や個人情報の安全な取り扱いを実現し、セキュリティリスクを軽減。
開設時からペーパーレス化を徹底し、保育記録やシフト管理などの作業を効率化。職員間や保護者とのコミュニケーションをリアルタイムかつ円滑に行うための基盤を構築。
保育・教育施設向けICTサービスを通じて提供される教育プログラムやアート活動を、スマートデバイスを介して効果的に運営できる環境を整備。
株式会社アヤボは、製造業の企業でありながら保育施設を運営しているのが特徴だ。同施設では、iPadなどのスマートデバイスと保育施設向けICTシステムを活用した運営を行っている。その一元管理を実現するためにCLOMO MDMを導入した。
株式会社アヤボは、愛知県安城市に本社を置く企業で、PVDコーティング技術のリーディングカンパニーとして知られている。PVDコーティングは先進の表面処理技術で、従来技術より効果・性能を凌ぎ、卓越した耐摩耗性、摺動特性を切削工具や機械部品に付与できるのが特徴だ。そんな同社は、5年前から企業主導型保育事業をスタート。iPadなどのスマートデバイスを活用し、保育・教育施設向け業務支援サービス コドモン(CoDMON)を中心に据えた運営を行っている。
コドモンとは保育・教育施設向けのICTサービスで「先生と保護者が子どもたちと向き合う時間と、心のゆとりを持つ各種支援ツールを提供するSaaS(Software as a Service)サービス」(*)だ。具体的には、施設の入口に設置したタブレットを使って、園児や職員の入退室時間を記録することや、保護者アプリで緊急連絡やお便りの配信、連絡帳のやりとり、欠席や遅刻連絡を受信が可能。また日々の日誌や、発達経過記録、指導案をスマートに記録することも可能なサービスだ。さらに、煩雑な請求業務をペーパーレス・キャッシュレス化して、職員と保護者双方の負担軽減にもつながる。
(*)コドモン製品サイトより引用。詳細はhttps://www.codmon.com/ をご覧ください。
「2014年以降、待機児童が社会課題となり、政府主導で『企業が保育園を作りませんか?』という制度が始まりました。2〜3年目あたりに当社も手を上げ、このみ保育園を開設しました。」(塚本氏)
同施設では、職員全員にiPad を配布し、連絡帳、登降園管理、シフト管理などコドモンの機能をフル活用することでペーパーレス化を実現している。また、登降園用打刻機や検食記録機など、機能ごとの専用機やバックアップ用の予備機としても活用している点が特徴だ。
さらに、このみ保育園独自の保育教材として、アートプログラムの開発と実施のためにイラスト制作アプリのProcreate 、動画編集アプリのDaVinci Resolve、グラフィックデザインをはじめとするクリエイティブのためのクラウド環境であるAdobe CreativeCloud をインストールしたiPad Proを配布しており、教材の制作や体験型プログラムの計画に活用している。
アートプログラムで作成した作品(一部)
「以前、共同保育所を運営した経験があったので、まったく未経験の事業というわけではありませんでした。また、アートを保育のプログラムの中心に据えて運営するという美大出身である私の娘のアイデアを実現したいという想いもありました。賛同してくれた娘の友人とともに、このみ保育園を立ち上げました。」(塚本氏)
同施設は、開設当初からコドモンの導入が決まっており、必然的にスマートデバイスを活用しなくてはならない状況だったという。「保育事業を始めるにあたり、当初は自分たちが2階に住んで1階を保育施設にする予定でした。しかし、行政から『これだけの付属施設が必要です』といった要件が出され、最終的にはすべてのスペースを保育施設に使わざるを得ませんでした。そのため、紙ベースの書類を管理するのが困難となり、まずペーパーレス化が必要でした」と塚本氏は語る。
さらに、保育者が記録として残す文書が非常に多く、作成や保管に多くの時間を費やすことも課題だったそうだ。紙ベースの記録の場合、職員間や保護者との情報の共有が滞ったり、煩雑であったりすることも課題だ。職員間や保護者とのコミュニケーションを迅速に行うことも困難である。
保育施設を新設するにあたり、デバイスのトレーサビリティ確保、秘密情報の管理、保護者や共同利用企業との連携を効率化するため、ICT を積極的に活用することも必須だったという。また連絡帳や写真・動画撮影など、保育記録、編集および保管業務についても、省力化・自動化を進める必要があった。そして、忘れてはならないのが、同施設の複雑なシフト管理である。
「当施設はパートタイムで勤務する職員の比率がとても高く、安定した配置を維持するために複雑なシフト管理を実施しなくてはなりません。最初のうちは、自分たちでExcelなどを使ってシフト管理を行っていましたが、後にコドモンの機能が充実してきたため、現在はそちらを使用しています。このシステムを導入する際、全員にiPadを配布しました。」(塚本氏)
同施設はいわゆる「ひとり情シス」状態だったため、労力をかけずに一元的に、複数のデバイスやアプリの管理を行わなくてはならなかったという。また、営業秘密管理などセキュリティ対策を図る必要があったことや、iPadなどのスマートデバイスやアプリに不慣れな職員にも、簡単かつ安全に利用させる必要もあった。
そして、職員間や保護者とのコミュニケーションをリアルタイムかつ円滑に行うため、クラウドストレージやコミュニケーションツールの活用も促進しなくてはならなかったことから、同施設におけるMDMの活用は必須だったといえよう。
さらに同施設では、新旧さまざまなスマートデバイスを管理・運用する必要もあった。「アトリエリスタ・保育者・調理担当など、それぞれの業務で使うアプリケーションに合わせ、 iPad Pro, iPad Air, iPadなど適切な端末を配備しています。また、開設時から職員の増加に合わせて追加導入してきたので、iPadの世代も異なっています」と塚本氏が語るように、MDMを活用した一元的なスマートデバイスとアプリ管理が求められた。
同施設では、選定時に 3 種類の MDM を試用。その結果、設定完了までの対応が良かったことや管理画面の操作がわかりやすいという理由により、CLOMO MDMの導入を決めたという。
「最初は、さまざまな用語があって大変だった…」と振り返るSE担当の小久保氏。他社のMDMは、マニュアルなどの解説に違和感があったことや、サポートの回答がわかりにくく、うまく設定ができなかったとのこと。
「AppleデバイスをCLOMO に登録するためには、先行してApple Business Manager での設定や確認が必要です。これらはCLOMO サポートの範囲外でしたが、Apple のサポート先を紹介していただくなど、丁寧かつ親身に対応してくださり、スムーズに手続きが完了しました。」(小久保氏)
また、同施設ではiPadを使用していたため、iPadが使えるMDMで探したそうだ。CLOMO MDMは管理画面がシンプルで設定しやすく、専門知識がなくてもアプリを配信したいとき、どう設定すればよいかがわかりやすかったとのこと。
「他社MDM の初期設定画面やマニュアルは、Appleデバイスの運用を良く知っている人を対象に作られていると感じました。そのため、初めてAppleデバイスの運用を担当する当施設にとっては、非常にハードルが高く感じられました。」(小久保氏)
CLOMO MDM は、Windowsのシステムに慣れている人からしても使いやすかったそうで、初期設定やアプリのインストールが滞りなく実施できたこともあり、導入に踏み切ったとのこと。
「CLOMO MDM導入の目的は、さまざまな世代や種類のスマートデバイスやPCを管理しつつ、データを記録するため全デバイスに同じアプリを配置することでした。アプリの配信管理も行っており、ICTツールに不慣れなスタッフでも利用できるようになっています。ハードウェア管理の負担も軽減されました」と塚本氏が語るように、ひとり情シス状態の同施設においても、CLOMO MDMの導入はスムーズに行えたとのこと。
困ったことがほぼなく、作業負荷もなく導入は完了。また運用開始後、職員が入退社した場合でも問題なく対応できたそうだ。「事務的な流れで手続きが行えるため、助かっています。もしCLOMO MDMでなかったら、やりきれなかっただろうと思います」と小久保氏は語る。
また、スマートデバイスにMDMが入っていることを意識させずに運用できているのもポイントだ。アプリの配信やアップデートなど、徹底した一元管理を行うことで、ス
マートデバイスが使いやすい環境を構築できるのもCLOMO MDMを導入するメリットだといえよう。
「保育関係者が当施設に見学に来て、保育者がiPadでコドモンを使っている様子を見ると、みんな驚きます。『強い決断と意志があればできます』と伝えるのですが、なかなか理解してもらえません。ハード面・ソフト面・人材面でスマートデバイスが使いやすい環境を整えることが重要です。」(塚本氏)
一方、保育施設では、子どもの個人情報や肖像を含む写真など、多くの秘密情報があるのも特徴だ。それらを管理するために、同施設では紙ベースではなくBoxやTeamsを活用している。スムーズな運用が可能なのは、CLOMO MDMで管理されているスマートデバイス環境が整っているおかげだ。
紙ベースの管理の場合、個人情報が含まれる書類は全て紙面に「社外秘」と記載した上で、鍵をかけて保管しなければならず、非常に手間がかかるが、デジタル管理では社外秘である旨がより明示しやすくなりアクセス権の制御も簡単に実施できる。これにより、営業秘密の管理が非常に効率的になった。
同施設はスマートデバイスの活用によりペーパーレス化などを実現。スタッフの事務作業にかかる時間を減らして、子どもたちに接する時間を増やすことに成功したことで、現在は本社でも展開を始めている。
「保育施設で5年間運用してきた結果、効果的に活用できることが分かり、本社でも同様の取り組みを開始しています。今年からDXチームが結成され、各セクションから1名ずつメンバーが選ばれました。コンサルタントを付けて2年計画で進めており、安城市の産業振興IT補助金を利用しています。現在、月2回のペースでコンサルタントが入り、会社の生産システムやその他さまざまな部門でのIT化・DX化を進めています。目標は、人が関わる業務を半分程度まで減らすことです。」(塚本氏)
IT化・DX化を推進するこのみ保育園にとって、CLOMO MDMは欠かせないツールの1つだ。今後、同様のアプローチを行う保育園も増えることが予想されるため、CLOMO MDMの活用範囲が益々広がっていくだろう。
※本事例中に記載の内容は掲載時点のものであり、閲覧される時点にて変更されている可能性があることをご了承ください。
30日間、無料で CLOMO MDM をお試しいただけます。
是非、トライアルボタンよりお申し込みください。