スマホの活用範囲拡大でより働きやすい環境をめざす
電子カルテの閲覧のほか、通話やチャット機能といった連絡手段としても利用
看護師向けには3点認証を行うPDA端末として活用
思い通りに動かせる「CLOMO MDM」を導入することで、
スマホ内に登録されている医療情報も安心して利用できる仕組みを実現
CLOMOでセキュリティをカバーしつつ、
ナースコールや添文ナビなど、スマホ活用を拡大していく
日本赤十字社福岡赤十字病院(511床、中房祐司院長)は情報伝達をスムーズかつ的確に行うため、2022年12月からスマートフォン活用を推進している。スマホ導入に伴い、以前散見された事務連絡事項の見落としなどが減少。今後は徐々に用途を増やし活用の幅を広げる一方、セキュリティ管理に万全を期すためMDMサービスの導入を通じた端末管理にも力を入れる。
同院ではもともと、医師に従来型携帯電話を貸与。電子カルテ上のグループウェアと併せ、連絡手段として使っていたが、会議開催の案内や事務連絡を見落とすなど課題を抱えていた。IT推進委員会委員長と情報管理室長を兼務する本山健太郎副院長は「携帯電話のメール機能は打つのも見るのも大変です。一方、グループウェアでの通知は、多忙な医師にとって常に電子カルテを見ているわけではなく不便でした。持ち歩けるデバイスに通知すれば、確実に情報が伝わるのではないかと考えました」と振り返る。
そこで、携帯電話を更新する機会にスマートフォンに切り替えることにした。電子カルテとの連携などを考慮し、iPhoneを選定。導入に当たって、スマホは「医療ツール」であり、個人携帯を置き換えるものではないことを現場に徹底した。190人の医師全員分を含む管理部門向けの携帯用500台のほか、3点認証(患者、点滴・注射、実施者)を行うPDA端末(*)として看護師向け140台の計640台を貸与している。
スマホは通話のほか、チャット機能、検査結果やバイタル情報など電子カルテの一部閲覧に活用。本山副院長は「客観的なデータ閲覧、医療で必須なものに制限していますが、ユーザー側にセキュリティに対する意識が高まってくれば、カルテ内容閲覧なども段階を踏んで開放しようと考えています。技術的に制限することとITリテラシーの教育はセキュリティを担保する車の両輪です」と説明する。
スマホが大いに役立った実例が電子カルテの更新時だ。ベンダー変更に伴い、5日間ほど電子カルテが稼働しなかった際、医師らに電子カルテの一時停止や紙カルテ運用に伴う注意事項などをチャット機能で伝達。トラブルなく乗り切り、非常時に情報伝達の代替手段として機能することを示した。
*PDA端末:スケジュール、メモなどの情報を携帯して扱うための小型機器。
こうしたスマホの有効活用を支えているのがアイキューブドシステムズの「CLOMO MDM」だ。本山副院長は「セキュリティを担保し、医療情報を安心して使える端末にしたいという強い思いがありました。セキュリティを大事にするなかで、スマホを便利に使える世界観を構築したかったのです」と語る。紛失時のアラート機能や端末内の情報消去の遠隔操作などを行えるMDMの採用は当然だった。
安全面ばかりでなく、端末内の情報更新や紛失時の捜索など、たいていの操作を容易にこなせる仕組みもCLOMOの利点だ。同院情報システム課の前角崚主事は「ドクター以外は電子カルテを閲覧できなくするなど、特定の人のみに入れたいアプリを選別できる点が一番良いところです。管理画面は視覚的に見やすく、思い通りに動かせることが最大のメリットです。セキュリティレベルなど規則をきちんと決めるためにシステムエンジニアは必要ですが、操作自体は誰でもできるのではないでしょうか」と、技術者の視点で使い勝手のよさに太鼓判を押す。
安全策を最優先に考えた場合、病院側の一元管理は必須だが、導入効果が数字に表れにくいというハードルがある。その点、中房院長をはじめ病院幹部にIT化、DX化へ理解があったのも大きい。
CLOMOの活用法は今後、ますます広がりそうだ。たとえば、スマホをナースコールとして活用するため、PDA端末として使用中に着信があったときの対応などを精査している。PDAに関しては特に夜間のバーコード読み取りに便利な赤外線機能の拡充も進める方針だ。
また、添付文書閲覧アプリ(医薬品、医療機器などの包装上のGS1バーコードを読み取り、PMDAのホームページ上の添付文書情報を閲覧可能)も導入したい意向。接続先を一定制限する必要が出てくるため、今後はCLOMOも活用してセーフリスト(接続許可リスト)の作成を進める予定だ。
iPadなどタブレット端末もCLOMOで管理することを検討している。「現在はその都度、現場に行ってバージョンアップなどの管理を行っていますが、CLOMOで遠隔管理ができれば楽になります。現場の意向を聴いたうえで、将来的に導入したいと考えています」(前角主事)という。
用途を着実に広げていくが、「安全性確保」を至上命題にする姿勢に今後も変わりはない。本山副院長は医療DXを進めるうえで、「CLOMO MDM」導入の意義をこう語る。「医療情報は『要配慮個人情報』であり、個人情報のなかでも一段階厳しいものです。『Jailbreak』(セキュリティホールを突いて、管理者権限でソフトウェアを動作できないようにすること)ですら、完全にカバーしてくれるCLOMOは非常に心強いと考えています」
副院長 本山 健太郎 氏、情報システム課 前角 崚 氏
日本赤十字社 福岡赤十字病院の CLOMO 導入事例は、PHASE3にも掲載しております。
是非、ご覧ください。
※本事例中に記載の内容は掲載時点のものであり、閲覧される時点にて変更されている可能性があることをご了承ください。
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