東京慈恵会医科大学付属病院

東京慈恵会医科大学付属病院

CLOMO MDMがDX推進に寄与

医療におけるICTの積極的な活用にCLOMOが継続伴走

東京慈恵会医科大学付属病院
  • POINT 1

    大規模台数の機種変・管理も「CLOMO MDM」でスムーズに

    同院を含むグループ全体で約3400台のスマートデバイス配布。1年間の長丁場にわたる、医療界では前例がない大胆な取り組みを全面サポート。

  • POINT 2

    現場の職員間のスムーズな情報共有・連携を可能に

    電話帳アプリ「Care Rings Contact」で当日出勤の職員のみを表示し、メッセージ送信可能に。iPhone導入により現場でのスムーズな情報共有、職員間のコミュニケーション力が飛躍的に向上。

  • POINT 3

    共同開発のコミュニケーションアプリ「Join」の活用

    着想から臨床実証まで同院が開発に参画。医療関係者間の医用画像の共有、メッセージの迅速な送付が可能に。オンコール勤務の負担軽減、急患への万全な対応を実現。


開設から140余年の歴史を誇る東京慈恵会医科大学附属病院(1075床、小島博己院長)は医療界の先陣を切る形で、ICT化に積極的に取り組んできたことで知られる。ICT化の転機となったスマートデバイスの導入と二度にわたる大規模な機種変更を進める際に重要な役割を果たしたのが、株式会社アイキューブドシステムズの「CLOMO MDM」。今後、同院のデジタル戦略をさらに推進、進化させるうえでも不可欠だ。

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ナースコールに素早く対応 患者の安心感につなげる

東京慈恵会医科大学附属病院が従来の医療用PHSに代え、iPhoneを導入したのは2015年にさかのぼる。配布した端末台数は、同院を含む4つの附属病院などグループ全体で実に約3400台。医療界では前例がない大胆な取り組みが、ICT化の道をつき進む第一歩となった。

 

一般に医療従事者は数多くの異なる職種がそれぞれの現場で仕事しているため、病院側からの情報共有や、横の連携が取りにくいといった弊害が指摘されてきた。そうした課題解決の期待を受け導入されたのがiPhoneだった。配布対象となったのは医師、看護師、一部コメディカル・事務職員。活用方法は、▽クラウド連絡帳、▽院内マニュアル管理、MRI・CTなどの医用画像の閲覧――など多岐にわたる。

 

多彩な活用法があるなかでも、業務負担を軽減する面で貢献度が際立っているのが看護現場だ。看護部の杉森師長は、iPhone導入に伴い職場にもたらされた大きな変化にナースコール対応を挙げる。

 

以前はナースコールがあると、それぞれの看護師が携帯するポケベルに知らせていたため、返事や対応のアクションを起こすまでにタイムラグがあった。現在ではナースコールに直接、iPhoneでの対応が可能になり、コール受信と同時に、患者に話しかけることができるようになった。

 

杉森師長は「以前はナースステーションに戻らなければなりませんでしたが、現在ではナースコールにその場で出ることができます。たとえば、『水枕など冷やすものが欲しい』など、患者さんが求めていることがあらかじめ分かっていれば、そのままお持ちして渡せるため、対応が1回で終わります」と説明する。ただ、ナースコールがあったときは、患者のもとへすぐ行くことが基本で、状況確認を徹底するように指導していると付け加えた。

現場でのスムーズな情報共有 業務効率の大幅な改善に貢献

患者対応だけでなく、職場における看護部間の連携にも変化があった。職員間のコミュニケーション力の飛躍的な向上だ。

 

同院の病棟看護師はiPhoneを共有端末として使用している。シフトによって誰が出勤しているか、どの番号に連絡したら、相手につながるかが分かりにくい面があった。そうした課題解消の切り札が、電話帳アプリ「Care Rings Contact」だ。出勤時に自分のIDとパスワードでログインすると、所属先の出勤メンバーを表示。当日、出勤している職員のみが表示されるため、連絡したい相手を手軽に探すことができるほか、メッセージ送信も可能だ。

 

杉森師長は「番号ではなく、名前をタップするだけで電話がつながります。『連絡ください』『急ぎません』などとメッセージを送ることもできます。患者さんの対応中はスマホを見ることはできませんから、対応が終わった後、折り返すことになります」と説明。折り返しの連絡がなかったことで、業務が遅延するような心配もなく、スムーズな連携を実現している。

 

とはいえ、ツールに頼り過ぎることについて注意も必要だと杉森師長は強調する。「メッセージのやり取りだけで安心してしまうと、本来の意味が伝わらなかったり、大事なことが抜け落ちたりしてしまいます。真意が伝わるように、考えながら使うことが重要です。それは若い看護師にも伝えています」

紙記入から電子化へ 業務量調査の作業時間を短縮

このほか、業務報告アプリ(N-Reports)も関連企業と共同研究開発し、病棟単位、看護部全体での働き方の現状を"見える化"する業務量調査に活用した。従来、紙に記入していた作業を電子化することにより、作業の負担軽減、大幅な作業時間の短縮につながった。

 

医療安全管理の具体的方策、医療事故発生時の対応や医療事故の評価と医療安全管理への反映などをまとめた「医療安全対策マニュアル」を電子化してiPhoneに取り込んだことも特筆される。電子化されたことで冊子のマニュアルとの使い分けが可能に。手元に冊子のマニュアルを持っていない場合でも手軽に確認することができるようになった。

 

新しい機能や使用法を習得するための職員教育について杉森師長は「導入に先立つ準備期間に全体的なオリエンテーションを設け、スタッフ同士で教え合い、使用法をマスターするような形です。幸いなことに使えなくて困っているという声はありません。今後もより良い使い方に向け、活用の幅を広げていきたいと思います」と話している。

1年がかりの機種変更 手厚い支援で乗り切る

スマートデバイスの管理においても「CLOMO MDM」は存在感を示した。その象徴が2018年と22年の2回にわたる大規模台数の機種変更だ。納品後、3つの分院に端末を直送し、それぞれの担当者に作業を任せたが、端末台数は同院だけで2000台近くに及んだ。

 

キッティングを外部委託した一方、その内容決定、機種変更の事前通知、各機関・各診療科への新しいデバイスの配布・旧端末の回収など業務は多岐にわたり、すべての入れ替えが完了するまで3~4カ月、準備期間を含め1年間の長丁場だった。セキュリティの関係でデータ移行ができなかったうえ、構成プロファイルで指定できる項目に限界がある点などハードルがあったものの、業務アプリがおおむね、クラウドに移行していたため、新旧デバイスの切り替えはスムーズだった。

 

管理課の小田さんは「機種変更の際は、(アイキューブドシステムズ社に)複数の環境を準備していただきました。分からないことがあれば、非常に丁寧に、手厚くサポートしていただきました」と振り返る。そのうえで、「マニュアルを見なくても、どれを指しているのか分かります。ユーザーインターフェースが非常に触りやすく、使っている側としてはありがたいです」と目を細める。

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横井課長、脇川さん、千葉さん、小田さん(左から)

緊急時に威力を発揮 管理運用面で大きな効果も

管理課が挙げるスマートデバイスの導入効果の一つとして、メッセージの一斉通信機能がある。これは、緊急時の対応を迫られた場面で威力を発揮した。たとえば、同院で昨年、電子カルテが早朝からシステムダウンするトラブルに見舞われたときだ。

 

このようなケースでは、担当部署に問い合わせが殺到するため、復旧が遅れることがある。しかし、対応状況の説明と復旧連絡を一斉通信で知らせた結果、問い合わせなどはほとんどなかったという。このときの教訓も踏まえ、24時間、職員が常駐しているシステム課に一斉通信の対応権限を移した。

医療画像で迅速に情報共有 Join活用で急患への対応も万全に

また、災害時のキャリア回線通話制限対策として、院内Wi-Fi設備で完結する通話環境を整備した。今のところ、実際に稼働したことはないが、BCP(事業継続計画)の面からも重要な役割を果たしている。

 

さらに、医用画像や心電図などを医療スタッフ間で共有できるほか、チャット機能により、画像やメッセージなどを送付できるコミュニケーションアプリ「Join」の活用も注目される。院外でも診療サポートができ、オンコール勤務の負担軽減が最大の目的である。システムの着想から臨床実証に至るまで同院が開発に参画した。

 

院内の手術室や救急室の一部にJoin用の医療カメラを設置。CT、MRIといった医用画像だけでなく、手術の進捗状況などの映像も確認できる。横井課長は「このアプリは共有が必要なスタッフには入っており、必要に応じて緊急時やグループ設定がカスタマイズできるので、災害時などにも活用できるようになっています」と説明する。

管理・利用規定の改訂など、セキュリティ対策にも注力

今後もスマートデバイスのさらなる用途拡大が見込まれるが、課題もある。同課の脇川さんは「紛失時のリスクも含め、ランサムウェア対策なども考えていかなければなりません。今、まさに検討しているところです。導入から10年近くが経過し、携帯利用規程についても時代に合ったものになるよう作業を進めていきます」と強調する。

 

また、同院では医師の勤怠管理に屋内位置情報サービスを取り入れている。担当している千葉さんは「医師の客観的な在院時間を把握できる一方、各端末のエラーや設定不備への対応が日々求められます。また、『個人情報が洩れているのではないか』と不安を抱く先生もいます。正しい勤務管理を行ううえでは、医師の協力が欠かせないと考えています」と説明する。

 

「DX化が進み、iPhoneをもっと現場に活用しようという流れになっています。他施設を見ると、電子カルテに音声で入力しているケースもあります。さまざまな情報を収集し、取り入れられるものは取り入れていきたいと考えています」(脇川さん)。

 

さらに効率的な体制構築に向け、今後もアイキューブドシステム社と二人三脚で歩みを進める。

 

慈恵会医科大学の CLOMO 導入事例は、2016年にも掲載しております。

是非、ご覧ください。

※本事例中に記載の内容は掲載時点のものであり、閲覧される時点にて変更されている可能性があることをご了承ください。

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東京慈恵会医科大学付属病院

  • 1882(明治15)年、高木兼寛(海軍軍医総監)が日本初の民間施療病院で前身の有志共立東京病院を設立。以来140年にわたり、基本理念「病気を診ずして病人を診よ」にもとづいた医療を実践している。学校法人慈恵大学の下には同院を含め4つの附属病院がある。西新橋キャンパス再整備計画により、2020年1月、新外来棟と母子医療センターがオープンした。
  • 所在地:東京都港区西新橋3-19-18
  • 病床数:1075床(一般1026床、精神49床)
  • 職員数:2744人(うち看護職員1122人)

CLOMOが解決した課題

  • 新旧デバイスの切り替えをスムーズに行いたい

  • 用途拡大するスマートデバイスのセキュリティ対策を万全にしたい