ホワイトリスト/ブックマークを SecuredBrowser で一元管理
現場のニーズや利用実態に応じて、SecuredBrowser のホワイトリストを追加。アクセス監視ログを見ることで、潜在的なニーズのあるサイトの“発掘”も可能に。
SecuredBrowser のフォルダ機能により、フォルダを階層分けしながらブックマークを共有することで、エリアに応じて最適な案内情報が見られるようなブラウジング環境を構築。
アクセス先のウェブサイトの閲覧可否を判断する基準をブラウザアプリ内に保持しており、直接イントラネット上のシステム利用が可能。
大規模に iPad を導入し始めたのは2014年初頭からで、きっかけは新幹線の乗務員の肉体的負荷を軽減することでした。それまで運転士・車掌・客室乗務員といった乗務員は、約3Kgにも及ぶ紙のマニュアルを鞄に詰めて持ち歩く必要がありました。また、列車の行き先で宿泊して帰ってくるといった勤務体系が多いため着替えも必要であり、乗務員の鞄はとても重くなっていました。
図1. JR西日本で行われている iPad を活用したお客様対応
そこで、紙のマニュアルの電子化による携行品の簡素化、及び各種アプリによるお客さま満足度向上、さらには現地情報の共有による安全性の向上を目的として、タブレットを導入しようという結論に至りました(図1)。
まず、最初にお話した重たい紙のマニュアルについては、電子化したものを端末に入れるようにしたため、乗務員が持ち歩く鞄はとても軽くなりました。マニュアルには、列車の構造を記した「車両マップ」も搭載していて、普段から車両について勉強できるようになっています。
いざという時にはどこに何があるのかが瞬時にわかるようになるなど、乗務員の緊急対応能力の向上も期待できます。
また、輸送障害発生時には、列車在線位置が閲覧できるアプリや列車運行情報を一覧表示で閲覧可能なアプリ(図2)を使い、お客さまにスムーズな案内ができるようにしています。
図2. 運行情報を一覧表示できるアプリの利用画面
さらに、昨今増えている訪日外国人のお客さまに対する案内レベルの向上にも iPad は貢献しています。忘れ物や指定席の間違えなど、お客さまがお困りの時にスムーズに対応できるよう、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語の4ヶ国語のコンテンツを作成し、対面しながら紙芝居形式でご案内できるようにしました。加えて、コンテンツ配信の仕組みを利用して外国語の音声ファイルを iPad に配信し、車内放送で流すといった取り組みも行っています。
そして普段のお客さまへの対応で活躍しているのが、CLOMO SecuredBrowser です。SecuredBrowser のブックマークを活用することで、お客様から頂いたご質問を迅速に検索し、ご案内することが可能となりました。例えば運転士というとあまりお客さまと接する機会がなさそうに見えるかもしれませんが、ホームを歩いている時などにお客さまから質問を受けることが意外と多いんです。
お客さまにとってみれば、駅員も車掌も運転士も同じ鉄道会社の社員なわけですから、質問にすぐに答えられないというのでは困ります。それが SecuredBrowser を使って速やかに回答できるようになったと、現場からも評価してもらっています。
まず当社では Web アクセスを SecuredBrowser からのみに限定するため、iOS の標準ブラウザである Safari の利用を制限しています。そのうえで、当社が運営する観光情報サイト「JRおでかけネット」をベースに、お客様に対してご案内する必要がある Web サイトだけを SecuredBrowser のブックマークに取り込んで閲覧できるようにしております。
そうです。そして我々のように管理する側は、乗務員の希望を聞きながら、お客さまへの案内に必要なサイトだと判断すれば、順次ホワイトリストに登録していくわけです。最初は100件ほどの登録件数でしたが、今ではブックマークベースでも200サイト、ホワイトリストだと数百件にまで増えています。
他の鉄道会社のサイトが多いですね。なぜかと言うと、自社路線において輸送障害が発生した場合、お客様に対して、どの路線に乗り換えれば目的地に早く到着できるかといったご案内が必要になるからです。
あと、乗務員からの追加リクエストが多いのが、地域や期間限定の観光情報サイトです。例えばある地域で人気のイベントがあったりすると、事前にそのイベントの公式サイトも立ち上がりますよね。そうした情報の必要性は現場で働く者でないとなかなか気づくことができません。
なので、乗務員からリクエストを上げてもらい、こちらでホワイトリストに追加することで、よりお客さまのニーズに合致したブックマークへと“育てて”いけるんですね。最近はお客様のほうが豊富な情報を持っていますから、お客さまとの情報格差を解消するツールとしても役立っています。
もちろん、我々が見て有用だと判断したサイトは随時追加していますが、SecuredBrowser の監視ログから、アクセスをブロックしたサイトがわかりますので、これも大いに利用しています。
ブロックしたサイトの中には、“使える”サイトも多いのですが、ユーザーがその度に申告してくれるわけではありません。SecuredBrowser のログを使えば、そうしたサイトを埋もれさせてしまうことなく、こちら側で拾い上げることができるわけです。
そうならないのが SecuredBrowser のポイントの1つです。SecuredBrowser にはフォルダ機能があるので、フォルダを作成してブックマークを階層化して管理することができるんです。
なので、あるエリア向けのフォルダ内のサイトが増えたとしても、トップの階層での見え方は変わらないわけです(図3)。
図3. CLOMO SecuredBrowser での共有ブックマーク表示画面
一応検討はしましたが、iOS のホワイトリスト機能の場合、リストを更新するたびに構成プロファイルを配信しなければなりません。また、サブドメインが違う Web サイトについても別々に登録する必要があり、当社の運用方法を考えると現実的な選択肢ではありませんでした。
サーバー側で一括管理しながら、ホワイトリストを各端末に一斉配信できる仕組みが必要でしたので、SecuredBrowser はまさにぴったりだったのが大きかったですね。ホワイトリスト形式のブラウザは他にもありますが、ほとんどが一旦クラウドを介してからインターネットにアクセスするものです。それでは、インターネットから隔離された当社イントラサイト上のサーバへアクセスできなくなってしまうため、ブラウザ内にブックマーク/ホワイトリストを取り込むことができる SecuredBrowser しかない、となりました。
また、SecuredBrowser に限らず、iOS 全般に関する相談に、アイキューブドシステムズがとても親身に応じてくれた点も選定理由の一つです。業務での iOS 導入事例に数多く携わってきた豊富な経験をベースにアドバイスやサポートをしてもらえるのでとても助かりました。
我々も最初のうちは、iOS で何ができ、何ができないかがよくわからず、何度も相談しました。類似サービスを提供する他社に相談した場合と比較しても、回答の内容やスピードともに質が高いと感じました。頼り甲斐のある企業だと感じましたし、とても感謝しています。また、iOS がバージョンアップした際の製品対応もとても迅速でした。
やりたいことはいろいろとありますね。まずは、各支社や現場単位で様々な取り組みを行っているので、そこで役立つような情報をサイトやアプリにして、お客さまへのご案内につなげられればと考えています。「現場起点」というのは当社のキーワードの1つでもあります。
ですので、本社だけが主導するのではなく、現場主導による iPad 活用のアイデアを取り込んでいくことで、現場のモチベーションを高めながらお客さま満足度を向上していきたいですね。既に、新幹線職場の発案で、新幹線の停車駅ごとに接続可能な在来線列車の一覧を検索・表示するアプリを開発して iPad に取り込んでいます。このように良いものがあれば現場から積極的に吸い上げて、iPad 活用の水平展開を進めていく構えです。
※本事例中に記載の内容は掲載時点のものであり、閲覧される時点にて変更されている可能性があることをご了承ください。
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