セキュリティ

BYODの企業側のメリット・デメリットとは?導入時の注意点もわかりやすくご紹介

近年、テレワークなど働き方の多様化により、私用のデバイスを業務でも利用する「BYOD」を採用する企業が増加しています。BYODは多くのメリットを持つ一方で、セキュリティ面などでリスクも伴います。

本記事では、BYODのメリットやデメリット、導入時の注意点をわかりやすく解説します。BYODの全体像を把握し、導入を検討する際の参考にしてください。

BYODとは?

BYOD(Bring Your Own Device)とは、個人のPCやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを業務にも活用することを指します。

BYODは、近年のテクノロジーの進歩、特にスマートフォンの普及に伴い、採用が拡大しています。テレワークの普及やクラウドサービスの成長により、場所を選ばずに業務ができる環境が整ってきたこともBYODの需要を高める要因となっています。

BYODは、柔軟性や利便性の向上といったメリットがありますが、同時にセキュリティリスクなどのデメリットも伴います。特に企業や学校の機密情報を扱う場合、これらのリスクを適切に管理することが重要です。

シャドーITのリスクも拡大

BYODの導入が進む中で、シャドーITのリスクも拡大しています。シャドーITとは、企業や組織の正式な許可を得ずに、従業員が個人のデバイスを業務に利用する行為を指します。

テレワークや外出先での業務が一般的になる中で、利便性の観点から個人のデバイスを業務に使用するケースが増えています。しかし、企業が従業員のデバイス使用状況を完全に把握できないため、情報セキュリティリスクを高めるという問題を引き起こします。

そのため、BYODの導入と同時に、シャドーITのリスクを理解し、従業員のデバイス管理を適切に行うことが企業にとって重要な課題となっています。

BYODのメリット

BYODの導入は、従業員側の利便性の向上といったメリットに加え、企業側にもさまざまなメリットがあります。

企業側メリット

BYODの導入による企業側のメリットとして、以下の4点があげられます。

端末費用の削減

従業員が自身のデバイスを使用することで、端末購入やメンテナンスのコストを削減できます。特にスタートアップや中小企業にとっては、大きな経済的メリットとなります。

教育負担の軽減

従業員が自身のデバイスを使用することで、操作に慣れた環境で作業できます。研修やトレーニングの必要性が減少し、教育にかかる労力と時間の節約につながります。

多様な働き方への対応

従業員がどこでも自身のデバイスで作業できます。働き方の柔軟性が高まり、生産性の向上につながる可能性があります。

シャドーITリスクの軽減

BYOD運用におけるセキュリティ対策を万全にし、デバイスを適切に管理することで、シャドーIT(従業員が無許可で業務に個人デバイスを使用すること)のリスクを軽減できます。明確な利用ポリシーの策定やデバイス管理ツールを活用し、セキュリティリスクを管理することで、情報漏洩などの危険性を低減できます。

従業員側メリット

BYOD導入による従業員側のメリットは、以下の3点があげられます。

業務する時間や場所の柔軟性の向上

自身のデバイスを使用し、自宅やカフェなどで気軽に作業できます。時間や場所に縛られることなく業務ができ、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなります。

使い慣れたデバイスの使用による業務効率化

個人のデバイスを使用することで、操作に慣れた環境で作業できるため、業務の効率化につながります。新しいデバイスに慣れるための時間が不要になることから、研修を受ける労力も軽減します。

デバイスの一元化

個人のデバイスを業務に利用することで、職場用とプライベート用のデバイスを分ける必要がなくなります。デバイスの管理が簡素化され、運用の手間が削減されます。

BYODのデメリット

BYODには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。最も重要な懸念点はセキュリティリスクです。従業員が個人のデバイスを業務に使用することで、企業の機密情報へのアクセスが緩和され、情報漏洩のリスクが高まる可能性があります。

また、個々のデバイスに対するセキュリティ対策のバラつきや、不適切なアプリケーションのインストールが、企業のネットワークセキュリティに悪影響を与えることもあります。

企業側デメリット

BYOD導入に伴う企業側の主なデメリットは以下の3つです。

情報漏洩リスクの増加

従業員が自身のデバイスを使用することで、不適切なアプリやセキュリティが低いネットワークを通じて企業の機密情報が外部に漏れる可能性があります。そのため、業務に使用するデバイスのセキュリティ強化や、データ保護に関する厳格なポリシーの設定、従業員に対する適切な教育の提供が必要になります。

労働状況の把握が困難

企業が従業員の労働状況を把握することが難しくなります。従業員がどこで、いつ、どのように仕事をしているかが把握できず、労働時間の管理や業務効率の評価が複雑になる可能性も生まれます。

制度の複雑化と教育・周知の負担増加

企業のITポリシーの複雑化も招きます。異なる種類のデバイスやOSに対応するための方針策定、従業員のセキュリティ意識の啓発、使用規則の周知といった手間が発生します。時間と人的リソースが必要となり、企業の負担増加につながることもあります。

従業員側デメリット

BYODの導入には従業員にとってもデメリットがあります。主なデメリットは以下の3点です。

紛失・盗難時のリスクの増加

個人の端末に業務のデータが入っているため、端末が紛失または盗難に遭った場合のリスクが高まります。不正アクセスや情報漏洩の発生を招き、企業へ損害を与える可能性があります。

プライベートと仕事の境界の曖昧化

普段の生活で使用するデバイスに業務関連の通知が届くため、プライベートと仕事の境界が曖昧になりがちです。休日でも仕事から離れることが難しくなり、ストレスや疲労の蓄積につながる可能性があります。

通信費の発生

従業員が自身のデバイスを業務で使用する場合、業務中の通話やデータ通信に関する費用が発生します。手当てを提供している企業もありますが、あらかじめ固定されており、実際の使用量に応じた費用がカバーされない場合もあります。

BYODではセキュリティ対策が重要

BYODにおける最も重要なリスクは、セキュリティ面のリスクです。端末自体のセキュリティリスクはもちろん、端末から侵入したウイルスが企業のサーバを攻撃することによる不正アクセスや情報漏洩が起こる可能性もあります。

これらのリスクを予防するためには、従業員に対するセキュリティポリシーの徹底、デバイスのセキュリティ強化、適切なセキュリティソフトの導入など、包括的な対策を講じる必要があります。

BYODポリシーの策定・周知

デバイスの使用ポリシーの策定と周知は、BYODの安全な導入において不可欠です。ポリシー策定の目的は、従業員にBYOD利用の範囲を明確に伝え、セキュリティ意識を高めることにあります。

デバイスの使用ポリシーでは、最低限以下の内容を含めることが望ましいです。

業務に使用する範囲の明確化

従業員が業務で使用するアプリやサービスの範囲を定めることが重要です。万が一の際にも企業が対策を講じやすくなり、ウイルス感染のリスクを低減できます。

企業の管理範囲

企業が従業員のデバイスをどの程度管理するかを明示する必要があります。従業員からの不満を募らせるような管理は、シャドーITのリスクを高め、かえってセキュリティリスクを高めることになります。プライベートの保護とセキュリティのバランスを考慮する必要があります。

通信料金やセキュリティソフトの料金に関する規定

BYOD導入に伴い、通信料金やセキュリティソフトの費用負担に関する方針を定める必要があります。どの程度の費用を企業が負担するのか、従業員の自己負担が必要なのかなど、詳細に策定しましょう。

トラブル発生時の対処方法

デバイスの盗難・紛失が発生した場合の対応やセキュリティ違反が発覚した場合の対処法などを事前に定めておく必要があります。迅速かつ効果的な対応や問題の拡大防止・予防につながります。

MDM(モバイルデバイス管理)の導入

BYODの導入において、適切なデバイス管理も必要です。従業員のデバイスを安全かつ一元的に管理するためには、MDM(モバイルデバイス管理)の導入が極めて重要となります。

MDMとは、スマートフォンやタブレットなどのデバイスの一元管理やセキュリティ強化を可能にするシステムであり、デバイスの不適切な利用やセキュリティの問題を解決できます。

MDMの主な機能とメリットは以下の通りです。

一元的なセキュリティ管理

MDMを導入することにより、従業員のデバイスの機能を制限したり、統一したセキュリティポリシーを設定したりすることができます。デバイスのセキュリティ対策を効率的に実施し、機密情報の安全を保つことが可能になります。

盗難・紛失時の対策

MDMの機能によってデータを遠隔で削除できるため、デバイスが紛失または盗難に遭った際の情報漏洩のリスクを大幅に軽減できます。デバイスの位置情報も確認できるため、紛失したデバイスの早期発見にもつながります。

業務効率の向上と不正利用の防止

MDMでは、業務に必要なアプリを従業員のデバイスに一括で配布したり、不正なアプリのインストールを防止したりすることができます。業務効率の向上と不正利用の防止にもつながります。

MDMの導入は、BYODポリシー策定・周知とあわせて、企業のセキュリティ体制を強化し、従業員のデバイス利用を効果的に管理するための重要なステップです。BYODのメリットを最大限に活かしつつ、デメリットとなるリスクを大幅に軽減できるようになります。

また、MDMの導入と同時に、セキュリティ機能を強化したアプリの利用も、BYOD環境におけるセキュリティリスクを管理する上で効果的です。特にデータの暗号化や安全な通信を提供することで、データの安全性を高めます。

BYODを導入する際にはCLOMO MDMがおすすめ

BYODを導入する際は、同時にMDMも導入し、デバイスのセキュリティ強化や効率的な運用を実現することがおすすめです。MDM市場シェアNo.1*のCLOMO MDMは、BYODの運用をサポートする機能が多く備わっています。

従業員のデバイスの使用状況を把握し、必要に応じて遠隔でロックやデータを消去できるため、盗難・紛失時にも情報漏洩や不正アクセスのリスクを低減できます。このようなMDMの基本的な機能に加えて、「SECURED APPs」によってBYODを安全に運用できるようになります。

SECURED APPsは、アプリ内の操作履歴が確認できたり、他アプリとのデータの授受を禁止できたりする機能が備わっています。万が一の際にはアプリ内データのみを削除することもできるため、BYOD導入の際に多く採用されています。

また、CLOMO MDMにはAndroidデバイス向けに「Work Profileモード」というBYODに特化した機能も提供しています。業務用データと個人用データの棲み分けが簡単にでき、セキュリティとプライバシーの両方の保護につながります。

このようにBYODの導入・運用に役立つ機能を数多く搭載し、CLOMO MDMは一般企業・教育機関・医療機関など、あらゆる業界でご利用いただいています。

*出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号)」2014~2022年度出荷金額・2023年度出荷金額予測

株式会社AIRDO様の導入事例

CLOMO MDMの導入事例として、北海道を中心に定期旅客便を運航している株式会社AIRDO様の取り組みを紹介します。

AIRDOは、紙の書類やマニュアルを専用バインダーに綴じて持ち運ぶ従来の方法から、iPadを活用したデジタルの方法に移行しました。キャビンアテンダントの規程類や整備部門のマニュアル、地上係員の利用客案内ツールなど、iPadの利用範囲は広範囲に及んでいます。

そうした中で、約1,000台のiPadと450台のiPhoneを配備する必要があり、これらのデバイス管理にMDMツールの導入が不可欠でした。CLOMO MDMはセキュリティ確保のために選ばれ、端末紛失時の対策やセキュリティポリシーの配布などで効果を発揮しています。

また、端末の運用性の向上、遠隔地端末の保守、OSアップデート抑止などの機能も提供しています。CLOMO MDMの導入により、端末起動後はオートキッティングが作動し、最低限必要なアプリが自動インストールされるようになりました。それにより、ストレスや手間なく端末を使い始められ、利便性向上につながっています。

このようにCLOMO MDMは、多くの端末を安全かつ効率的に管理するための強力なツールとして、企業や組織に貢献しています。

まとめ

BYODは、多様化する働き方への対応や社用端末購入のコスト削減など多くのメリットがありますが、同時にセキュリティリスクを高めるといったデメリットも発生します。そのため、BYODの導入においては、セキュリティ対策が必要不可欠です。

BYODのセキュリティ対策として、BYODポリシーの策定・周知と同時に、MDMの導入も検討すると良いでしょう。MDMは、デバイスのセキュリティ管理、データ保護、リモートアクセスの管理などを可能にし、不正アクセスや情報漏洩の防止につながります。

CLOMO MDMは、国内MDM市場シェアで13年連続No.1*を獲得しており、BYODの導入・運用に役立つ機能を数多く搭載しています。わかりやすく使いやすい管理画面の採用、幅広いデバイスへの対応、専任チームによる丁寧なサポートが評価され、数多くの企業やあらゆる業界でご利用いただいています。

製品の機能・活用事例のダウンロード製品についてのお問い合わせもできるため、ぜひご活用ください。

*出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号)」2014~2022年度出荷金額・2023年度出荷金額予測

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出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望(https://mic-r.co.jp/mr/00755/ )」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号: https://mic-r.co.jp/micit/2023/ )」2014~2022年度出荷金額・2023年度出荷金額予測