セキュリティ

社用携帯を紛失したらどうするべき?原因や有効な対策をご紹介

警視庁が発表した「令和4年中の遺失物取扱状況」によると、携帯電話類の遺失届の数は19万7,000件、拾得届の数は12万7,000件となっています。実に7万個が紛失したまま見つかっていません。

特に、会社から貸与された社用携帯には、取引先の連絡先情報や電子メールでのやり取り、業務上の文書データなど多くの機密情報が含まれています。そのため、社用携帯を紛失した場合のリスクは非常に大きいです。万が一の紛失に備え、事前に準備することが重要です。

本記事では、社用携帯を紛失する原因や紛失に備えた対策をご紹介します。

社用携帯を紛失する主な原因・場面

社用携帯を紛失する原因や場面は、以下のようにさまざまです。

  • 外出先で食事をした際に使用し、そのままテーブルに置き忘れた
  • バスやタクシーに乗車した際にポケットから落ち、気付かずに降車した
  • 泥酔してどこで落としたかも憶えていない
  • 車に置きっぱなしで車上荒らしに遭った
  • 他のことに夢中になっている間に、置き引きに遭った

社用携帯は、常に持ち運ぶ上にサイズが小さいため、落とした際に気付きにくいです。また、高価かつ重要なデータが詰まった精密機器のため、盗難や悪用につながりやすい側面もあります。そのため、会社側から従業員に社用携帯を配布し、デバイスの管理を従業員だけに一任することは非常に危険です。

社用携帯を紛失した場合のリスク

社用携帯には、社内秘の情報や取引先の連絡先情報など、業務で利用するあらゆる情報が詰まっています。多種多様な働き方やビジネスアプリの発達により、社用携帯の活用範囲は年々拡大しています。それに伴い、社用携帯を取り扱うリスクも広がっています。

特に、機密情報や個人情報を多く取り扱う社用携帯の場合、紛失したときの影響は甚大なものとなるでしょう。ここでは、社用携帯を紛失した場合の主なリスクをご紹介します。

情報の漏洩

社用携帯を紛失した場合、第三者の手に渡って情報が漏洩する可能性があります。連絡先やメールなどの個人情報が漏洩した場合、個人情報の売買やなりすましによる被害、フィッシング詐欺被害など二次的な被害に発展することもあります。情報漏洩が外部に発覚すれば、取引先や顧客からの損害賠償、社会的信用の失墜による企業価値の損失につながります。

また、重要な営業情報や技術情報など、自社の機密情報が保管された社用携帯が競合他社に渡ってしまうことがあるかもしれません。その場合、営業機会の損失や技術的優位性の喪失が発生するなど、重大な問題となります。

社内サーバや業務クラウドへのアクセスに必要な認証情報が漏洩し、悪意のある第三者により悪用される可能性もあります。その場合、サイバー攻撃を受け、被害範囲がさらに拡大する可能性も考えられます。このように、社用携帯1台の紛失から企業内のすべての機密情報が危険にさらされるリスクがあります。

不正利用

社用携帯を紛失すると第三者に不正利用され、以下のような被害に遭う可能性があります。

  • オンラインショッピングやモバイル決済アプリを不正に使用され、高額請求に遭う
  • オンラインバンキングを不正に使用され、勝手に送金が行われる
  • SNSのアカウントが乗っ取られ、偽情報の拡散や他者への迷惑行為などが行われる
  • 迷惑メールの送信や電話を使った犯罪行為など、違法な活動が行われる
  • 悪質なサービスに登録され、法的な問題が発生する
  • 機器の破壊や不正な売却などの物理的な損害が発生する

決済やSNSなど、社用端末の活用の幅が広がる一方で、悪用される幅も広がっていることを理解しましょう。

ビジネスの機会損失

社用携帯を紛失すると、ビジネスの機会損失が発生する点も見逃せません。社用携帯には顧客や取引先から連絡が入ってきますが、紛失すればそれらの連絡がすべて滞ってしまいます。

場合によっては、重要な商談につながる連絡ができない、ビジネス上のトラブル発生時に迅速な対応ができないなどの問題が発生することもあるでしょう。結果として、重要なビジネスチャンスを逃し、顧客からの信頼を大幅に損ねるようなリスクにつながります。

会社の信用問題

社用携帯を紛失することで、企業の信用を問われる可能性もあります。社用携帯の取り扱いルールの脆弱性や、モバイルデバイスの技術的管理策の甘さなどが発覚してしまいます。周囲からは機器の紛失や、情報漏洩の予防措置を怠ったと判断されてしまうでしょう。

そのような事態を阻止するためには、常日頃からの予防策と管理策の徹底が不可欠です。普段から端末・情報管理に気を配り、対策を取っておく必要があります。万が一セキュリティインシデントが発生したとしても、適切な対処ができます。その結果、企業としての信用低下を最小限に抑えられます。

社用携帯を紛失した場合に必要な対応

社用携帯を紛失した場合のリスクを理解した上で、紛失後に必要な対応も理解しておく必要があるでしょう。紛失時の対応手順をあらかじめ知っておけば、慌てずに落ち着いて行動でき、あやまった手続きを防げます。また、その後の被害拡大や二次被害防止にもつながります。以下では、順序ごとに社用携帯紛失時に必要な対応をご紹介します。

紛失情報を把握

社用携帯紛失時の情報把握は、非常に重要です。紛失報告を速やかに受けることで適切な初動対応を行えます。そのためには紛失時や盗難時の連絡ルールを、周知徹底させることが必要です。連絡ルールとして以下が挙げられます。

  • 紛失に気付いた時点で迅速に連絡すること
  • いつの時点まで所持していたのか報告すること
  • 警察への連絡など、紛失に気付いた後に取った行動を報告すること
  • 端末に保存されていたデータの内容を報告すること
  • 紛失した地点に、心当たりはあるのかを報告すること

このように詳細な情報を収集することで、適切な対応策を選択できます。

携帯電話会社の紛失・盗難サポートに連絡

紛失した場合には、携帯電話会社の紛失・盗難サポート窓口に連絡することも忘れずに行いましょう。携帯電話会社に電話やインターネットの通信停止処理を行ってもらうことで、被害の拡大を食い止めることができます。

また、社用携帯の遠隔ロックやデータの遠隔消去ができる場合はあわせて行いましょう。悪意のある第三者の不正使用を防止し、情報漏洩を防げます。被害拡大を防ぐためにも、迅速な初動対応が重要となります。

警察へ遺失届を提出

携帯電話会社への連絡が終えたら、最寄りの警察署や交番に遺失届を提出します。遺失届を提出することで、落とし物が届いた場合に警察からの連絡を受けられます。警察庁の「落とし物の検索」で該当する落とし物をチェックすることも有効です。

また、紛失した可能性が高い場所がわかる場合は、その場所の施設管理者にも連絡しましょう。施設管理者が警察に届けるまで、一時保管している場合もあります。

情報の流出確認と報告

紛失した社用携帯に保存されているデータを確認し、流出の可能性がある情報をまとめます。その後は、関連する顧客や関係者に報告・謝罪を行いましょう。もし、報告や謝罪の前に情報漏洩などが明るみになった場合、企業が受ける信用低下や社会的損失は取り返しのつかないものとなりかねません。

情報開示や謝罪

必要に応じて、漏洩した可能性のある情報をWebサイトなどで公表します。その際に、公表できる範囲内で、紛失による影響範囲や考えられる二次被害について明記することが重要です。

また、再発防止に向けた取り組みを表明したり、個人の問い合わせや二次被害についての問い合わせを受け付ける専用窓口を作成したりするなどの対応も必要です。姿勢や向き合い方で、企業に対する周囲の評価が変わってきます。

社用携帯の紛失に備えた対策

社用携帯の紛失に備え、企業が普段から取り組むべき対策をご紹介します。社用携帯の取り扱いルールの整備や、緊急時の代替手段の用意、端末セキュリティの強化方法などをお伝えします。今後の対策に活かしてください。

社用携帯の使用ルールを策定

社用携帯の紛失とそれに伴う情報漏洩や二次被害を防止するためには、機器の取り扱いルールを策定することが大切です。具体的には、以下のような取り扱いルールを策定しましょう。

  • 常に身の回りに保管し、無人の場所に放置しない
  • 公共の場所や移動中は、バッグやポケットなど身体に近い場所に保管する
  • 私的利用や社員間での貸し借りを禁止する
  • 不要なアプリやデータを社用端末に保存しない

また、上記でご紹介した紛失時の行動やルールを周知しておくことも忘れずに行うようにします。

迅速な代替手段の用意

社用携帯の紛失時に緊急リカバリー手段を確保しておくことは、ビジネスの機会損失を防ぐために重要です。万が一の際、迅速に代替機器を用意し、1時間でも早く当該社員に配布できれば、営業機会の損失やトラブル対応の遅れによる信用低下を防げます。

通信手段を確保することは、取引先や顧客からの信用獲得のために非常に重要です。社用携帯の紛失により、長時間にわたって通信手段が途絶えるような事態は、極力避けなければなりません。

社用携帯のセキュリティ強化

社用携帯のセキュリティを強化することは、紛失によるリスク低減につながります。社用携帯のセキュリティを強化する方法としては、以下のことが考えられます。

  • 端末の位置情報サービスの設定を行う
  • 複雑なパスワードの設定を行う
  • 同じパスワードの使い回しを行わない
  • SMS(ショートメッセージサービス)や認証アプリによる多要素認証の設定を行う
  • クラウドを活用してデータを端末に保存しない
  • 遠隔ロック機能や遠隔消去機能を持つサービスを使用する
  • 端末の紛失防止タグやトラッカーを活用する

これらの対策を複数組み合わせることで、社用携帯のセキュリティを大幅に向上させられます。また、これらの対策を社内のITポリシーとして定めましょう。研修や講習会を定期的に開催することで、社内全体のセキュリティ水準を保つことができます。

MDMで社用携帯紛失のリスクを軽減しよう

社用携帯紛失時のリスク軽減に、MDM(モバイルデバイス管理)が役立ちます。MDMは、社用携帯などのモバイルデバイスを一元管理できるシステムです。社用携帯紛失時に有効なさまざまな機能が搭載されています。

  • 社用携帯の不正使用を防ぐリモートロック機能
  • 社用携帯からの情報漏洩を防ぐリモートワイプ(遠隔消去)機能
  • 紛失した社用携帯をいち早く探し出す位置情報取得機能
  • 不正使用を把握できる使用状況監視機能
  • 代替機の初期設定や端末設定を迅速かつ簡略化できるキッティング機能

MDMを導入することで、社用携帯紛失のリスクを未然に防げ、紛失時にも迅速に対応できます。

関連記事:MDM(モバイルデバイス管理)の必要性とは?導入のメリットをわかりやすく解説

CLOMO MDMは13年連続シェアNo.1のMDMサービス

CLOMO MDMは、社用携帯をはじめ、ノートPCやタブレットなどのさまざまなモバイルデバイスを統合的かつ効率的に管理できるMDMサービスです。豊富な機能と充実したサポート体制により、国内MDM市場シェアで13年連続No.1*を達成しています。

社用端末の紛失対策において、CLOMO MDMの導入は非常に有効です。社用携帯の使用状況の一括把握や、遠隔での端末ロック(リモートロック)、端末内のデータの削除(リモートワイプ)を行えます。そのため、社用携帯の紛失や盗難による端末の不正利用や情報漏洩の防止につながります。

紛失対策以外にも、CLOMO MDMは以下のような特長があります。

  • 操作感に優れたUI(ユーザインターフェース)で使いやすい
  • 特別な知識やトレーニングなしで簡単に操作・管理可能
  • マルウェア感染などの脅威から端末を保護する、堅牢なセキュリティ機能を搭載
  • 専任チームによる電話受付サポートを実施
  • 日本語で顧客の困りごとや悩みを解決まで丁寧にサポート

CLOMO MDMを導入し、万が一の社用携帯紛失に備え準備を進めましょう。

*出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号)」2014~2022年度出荷金額・2023年度出荷金額予測

まとめ

社用携帯を使用する場合は、常に紛失や盗難のリスクがつきまといます。1台の社用携帯の紛失が情報漏洩や不正使用、ビジネスの機会損失、企業としての信用低下など多大な損害を引き起こす可能性があります。

そのため、社用携帯紛失時の対応を理解し、紛失に備えた対策をしておくことが重要です。社用端末の取り扱いルールの策定や迅速な代替手段の用意、紛失時のリスクを軽減させるセキュリティ管理策などを行いましょう。

社用携帯のセキュリティを強化するためには、MDMの導入が非常に有効です。MDMには紛失時のリスクに対応するための豊富な機能が備わっています。そのため、緊急時の強力な味方になってくれます。

CLOMO MDMは、堅牢なセキュリティ機能を搭載し、24時間365日のサポート体制を整えています。社用携帯の紛失対策や企業のデバイス管理を強力にサポートします。

製品の機能・活用事例のダウンロード製品についてのお問い合わせもできるため、ぜひご活用ください。CLOMO MDMで、社用携帯の課題を解決し、ビジネスの効率化を図りましょう。

監修者

杉本 裕基

CLOMO事業本部 コンサルティングサービス部

2021年、CLOMO事業本部 コンサルティングサービス部に入社。前職のクラウドセキュリティサービスを提供する企業では、グループウェアやIDaaSなどのSaaS全般にわたる導入支援を担当。その経験を活かし当社でも特にセキュリティ面で不安を抱えるお客様向けの端末設定、運用周りに関するサポートを行っている。

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出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望(https://mic-r.co.jp/mr/00755/ )」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号: https://mic-r.co.jp/micit/2023/ )」2014~2022年度出荷金額・2023年度出荷金額予測