小学校や中学校、高等学校などの教育機関において、タブレットを活用した教育が推進されています。それによって、タブレット教育を導入する学校も増えています。
タブレットの導入は、生徒・教員ともにさまざまなメリットがあります。しかしその反面、デメリットや押さえておかないといけない注意点もあります。また、学校にタブレットを導入する上で必要なセキュリティ対策も存在します。
本記事では、学校にタブレットを導入する際の注意点や対策をご紹介します。
Contents
学校・教育機関へのタブレット導入・運用状況
出典:『端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)』文部科学省
令和3年の文部科学省の調査によれば、全国の公立小学校の96.2%、中学校の96.5%が、タブレットなどの端末を利用しています。
出典:『端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)』文部科学省
その中で、非常時の端末の持ち帰り学習実施を準備できている学校は全体の66.5%、平常時の端末の持ち帰り学習実施を準備できている学校は全体の26.1%です。学校により端末の利用方法にばらつきがある状況です。
持ち帰り学習を実施するためには、端末の紛失や盗難、私的利用によるウイルス感染への対策が必要不可欠です。学校によっては端末のセキュリティ対策が十分にされていない可能性があります。タブレットを導入したものの、有効活用できていない学校が多いのも現状です。
タブレットの導入が進む背景
学校へのタブレット導入が進む背景には、ICT教育(情報通信技術を教育分野に応用すること)の概念が普及したことが挙げられます。
また、近年「GIGAスクール構想」として、政府はICT教育をさらに推し進めています。GIGAスクール構想とは、生徒に1人1台の情報端末を配布し、それを活用するための高速インターネット環境を整備することです。
ICT教育およびGIGAスクール構想の広がりにより、学校ではタブレットをはじめ、さまざまなデジタル機器の導入やデジタル教科書・学習用アプリの活用などが進んでいます。
学校にタブレットを導入するメリット
タブレットのようなデジタル機器には、従来のアナログな教育手法や人の手作業では成しえないデジタルならではの特長や強みがあります。そのため、学校や教育にタブレットを導入するメリットは数多くあります。生徒側と教員側の2つの視点で、それぞれのメリットをご紹介します。
生徒側のメリット
タブレットの導入によって生まれる生徒側のメリットとしては、以下が挙げられます。
- デジタル教科書や学習アプリを活用することで、動画や音声、インタラクティブコンテンツ、教科書以外の教材を使った授業が可能となる。得られる教材の幅が広がる
- 情報を視覚的・多角的に捉えられるため、学習のモチベーションや理解度が高まる
- 生徒自身が興味のあることを自主的に調べられるようになり、主体的な学習ができる
- デジタル教科書によって荷物(ランドセルやバッグの中身)が軽くなり、身体への物理的負担が減る
- 個別化された学習体験により、自分のペースで学習することができる
タブレットを導入することで、学びの幅や学習へのモチベーションの向上に加え、生徒の身体的な負担の軽減にもつながります。デジタル機器の強みを最大限に活用できることがメリットです。
教員側のメリット
タブレットの導入によって生まれる教員側のメリットとしては、以下が挙げられます。
- プリントや黒板の代わりに、PDFや電子黒板などを利用することで効率的な授業ができる
- デジタル教材を活用することで、紙の教材で必要だった管理や更新の手間を削減できる
- 教材や情報の配布が容易になり、時間とコストを節約できる
- 教員間での情報共有が容易に。コミュニケーションが円滑に進み、教員全体の業務負担が減る
- 学習アプリや学習プログラムを通じて、授業の内容や生徒の進捗具合を確認しやすい。各生徒に合わせた教育が行える
- 保護者とのコミュニケーションに活用できる
- 教員自身のデジタルスキルを向上させ、デジタルリテラシーを向上させることができる
タブレットの導入は、教員が授業を効率的に行う手助けとなり、業務負荷を減らすことにも寄与します。
学校にタブレットを導入するデメリット・問題点
学校にタブレットを導入する場合、メリットがある一方でデメリットも存在します。生徒側と教員側の互いの視点で、タブレットを導入するデメリットや問題点をご紹介します。
生徒側のデメリット
タブレット導入によって生じる生徒側のデメリットとしては、以下が挙げられます。
- デジタル機器の豊富な機能によってできることは増える一方、情報過多となり集中力が低下する可能性がある
- 紙に文字や文章を書く機会が減少する
- タブレットの画面を長時間見続ける機会が増加。視力低下やドライアイを引き起こす可能性がある
- すべての家庭が安定したインターネット接続にアクセスできるわけではない。経済的に恵まれない家庭の生徒に、不利益や教育格差が生まれる可能性がある(デジタルデバイド)
- 個人情報の漏洩やオンラインでのいじめなど、サイバーセキュリティのリスクが高まる
教員側のデメリット
タブレット導入によって生じる教員側のデメリットとしては、以下が挙げられます。
- 授業の準備や内容をタブレットで行うため、タブレットや学習アプリに不具合が生じた場合は授業ができない可能性がある
- タブレットの利用方法が不適切もしくは、端末のセキュリティ対策が不十分な場合、生徒の個人情報や学校の機密情報が流出する危険性がある
- 教員としても新たな知識を身につけることが必要。デジタル機器をうまく活用できない教員が発生する可能性がある
生徒側・教員側ともに、デジタル機器ならではの問題が発生する可能性も考えられます。あらかじめデメリットも認識しておくことが大切です。
学校のタブレット導入の注意点と必要な対策
メリットとデメリットを考慮した上で、タブレット導入における注意点を理解しましょう。タブレットを最大限活用するために、タブレット導入後に必要な対策もご紹介します。
生徒や教員が利用する際のルールを策定する
盗難や不正利用の危険性があるため、ダブレットを無条件にどんな場所でも使用して良いとは限りません。生徒や教員がタブレットを使用する際のルールをしっかりと明文化し、策定しておきましょう。
- 学校内の授業や家庭学習など、決められた時間と場所でしか使用しない
- 授業に必要ないサービスやアプリなどをむやみに登録したりインストールしたりしない
- 生徒が勝手に設定変更できないように学校・教員側でタブレットを一元的に管理する
- 盗難や紛失などのトラブルが起きた際にはすぐに報告する
以上のようなタブレットの使用ルールを策定し、学校全体での周知が必要です。
保護者向けに説明資料を用意する
タブレットは家庭内でも使用することがあるため、保護者にも使用ルールを共有することが重要です。学校外でも、使用ルールが乱れることのないように注意しましょう。
保護者によってはタブレットを活用した学習は馴染みがなく、真新しく映ることが想定されます。そのため、使用ルール以外にも導入の背景や目的、活用方法、起こりうる危険性やリスクと、その対処方法も共有するようにしましょう。
タブレットの導入は、生徒の家庭に負担を強いる可能性もあります。保護者への周知や誠心誠意の対応が必要となります。
タブレットのセキュリティを強化する
タブレットなどのデジタルデバイスを使用する際には、情報漏洩やウイルス感染などのリスクがつきまといます。リスクを最小限に抑えるためには、適切なセキュリティ対策を事前に施しておくことが重要です。
たとえば、タブレットのアクセス経路や使用方法に制限を設けたり、インターネットリテラシー教育を行ったりすることで、端末の危険な使用を未然に防げます。
また、使用者のセキュリティ意識に依存しない対策として、タブレットを一括管理できるシステムを導入することも重要です。使用状況の把握やウイルスの感染防止などの機能を搭載したシステムもあり、タブレットのセキュリティ強化に大いに貢献します。
学校のタブレット導入にはMDMがおすすめ
MDM(モバイルデバイス管理)は、タブレットやスマホなどのモバイルデバイスを一元的に管理し、セキュリティ強化や効率的な運用をサポートするシステムです。MDMを導入することで、以下のような効率的なタブレット運用が可能となります。
- 不要なアプリの使用制限をかけることで、生徒が授業や家庭学習に集中できる
- タブレットを紛失もしくは盗難被害に遭った場合でも、遠隔ロック機能やデータの遠隔消去機能を使用することで情報漏洩リスクを軽減できる
- ウイルスの侵入を検知・ブロックでき、ウイルス感染リスクを軽減できる
- 一括で全端末の設定やアプリのインストールができるため、作業を簡略化できる
タブレットの利用状況を一括で確認できるため、非効率的な運用やセキュリティリスクの高い運用の早期発見・解決にもつながります。
関連記事:MDM(モバイルデバイス管理)の必要性とは?導入のメリットをわかりやすく解説
CLOMO MDMは学校への導入実績が豊富なMDMサービス
CLOMO MDMは、タブレットを統合的かつ効率的に管理でき、学校や教育機関への導入実績が豊富なMDMサービスです。豊富な機能と充実のサポート体制により、国内MDM市場シェアで13年連続No.1*を達成しています。
CLOMO MDMには以下のような特長があります。
- 操作感に優れたUI(ユーザインターフェース)で使いやすい
- 特別な知識やトレーニングなしで簡単に操作・管理可能
- マルウェア感染などの脅威から端末を保護する、堅牢なセキュリティ機能を搭載
- 専任チームによる電話受付サポートを実施
- 日本語で顧客の困りごとや悩みを解決まで丁寧にサポート
また、CLOMO MDMはASM(Apple School Manager)にも対応しており、自動デバイス登録機能やアプリの一括購入機能を利用できます。Shared iPad(共有iPad)やManaged Apple ID(管理Apple ID)、クラスルームアプリケーションなどのさまざまな教育機関向け機能にも対応しています。
CLOMO MDMは、小学校や中学校、高等学校のタブレット運用をサポートしています。活用することで、セキュリティ強化や効率的な管理ができるようになります。
*出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号)」2014~2023年度出荷金額・2024年度出荷金額予測
CLOMO MDMの学校・教育機関での導入事例
CLOMO MDMは、多くの学校・教育機関で実際に使用されています。導入事例として生徒1人につき1台のiPadを配布し、ICT教育を行っている中村学園三陽中学校・高等学校での取り組みをご紹介します。
中村学園三陽中学校・高等学校では、ICT教育を実践しています。それに伴い端末の時間外の利用制限やインターネットフィルタリング、位置情報の把握、使用状況の把握など、さまざまな機能のもとに端末の一元管理が必要でした。
CLOMO MDMを導入することで、全端末の一元管理が可能となり、校内でも家庭でも安心安全にiPadを活用できるようになりました。CLOMO MDMの導入が、学習環境の整備やICT教育の推進につながっています。
また、もう1つの活用事例として、九州中央リハビリテーション学院での取り組みもご紹介します。九州中央リハビリテーション学院では、リハビリ・看護・介護の専門人材を育成するカリキュラムの中にICT教育を採用しています。
ICT教育を実施する上で、CLOMO MDMやApple School Managerが大いに活用されました。授業に必要なアプリや資料を一括で配布することで、効率的な授業を支援しています。また、授業に必要ないアプリのインストールの制限や、生徒の学習状況の一元把握など、ICT教育のさまざまな場面で活躍しています。
まとめ
ICT教育の推進やGIGAスクール構想により、学校や教育機関でタブレットの導入・活用が進んでいます。タブレットの導入により、生徒・教員ともにさまざまなメリットがある一方で、デメリットや注意点も発生します。特に、端末のセキュリティ対策を疎かにして利用すると、情報漏洩やウイルス感染などが起こる可能性もあります。
タブレットのセキュリティを強化するためには、使用ルールの策定・周知が必要です。加えて、セキュリティ対策と全端末の一元管理ができるMDMの導入が効果的です。
CLOMO MDMは、操作のしやすさや強固なセキュリティが特長です。ASM(Apple School Manager)にも対応しており、教育機関向けの機能を最大限活用できます。24時間365日のサポート体制を整えているため、学校・教育機関への導入事例も豊富です。
製品の機能・活用事例のダウンロードや製品についてのお問い合わせができるため、ぜひご活用ください。CLOMO MDMで、デメリット部分や課題を解決し、安心安全な学習環境を整えましょう。
監修者
上瀬 典明
CLOMO事業本部 営業部
通信キャリア、セキュリティベンダーでデバイスのセキュリティ対策の経験を経て、2022年にCLOMO事業本部 営業部に入社。前職での経験を活かし、マルウェア感染をはじめとしたサイバー攻撃からデバイスを保護するためのエンドポイントセキュリティ製品の提案や導入支援を担当する。現在は、特にセキュティに関して幅広い提案が求められる教育業界を中心にデバイス活用の提案を行っている。